ブルーライトカットメガネは必要ない!?
デスクワークやゲームをするときにブルーライトカットメガネはかけていますか?
JINSが販売している、いわゆるPCメガネは累計販売本数が700万本を超える大ヒット商品になっていますが、最新の研究ではブルーライトカットメガネは眼精疲労の症状を改善する効果は無いということが示唆されるなど、デジタル機器を使用する際のブルーライトカットメガネの必要性が話題になっています。
今回はブルーライトって結局どんなものなのか?というところから、睡眠への影響について、そしてブルーライトカットメガネの本当の必要性についてご紹介していきたいと思います。
ブルーライトとは?
光には人間が見える光と見えない光があります。
光には波長というものがあり、波長が短すぎたり長すぎたりすると人間には見えない光になります。
見えない光ってそんなよくわからないこと言われても…。
実は『紫外線』も光の種類を表す言葉なんですよ。
皆さんも日焼け止めを塗ったり、サングラスをかけたり、目には見えないけど体には当たっている光への対策をしていますよね。
身体に火傷を負わせたりすることもある、これは光のパワーです。
そして紫外線の次に波長が短く、パワーも強いのがブルーライト。
紫外線のように身体に傷を負わせるほどのパワーはありませんが、このパワーの強さこそが目に悪影響を与えるのではないかと言われているゆえんなんです。
自然のブルーライトと人工のブルーライト
ブルーライトって目が疲れたり、眠くなくなったりするあれでしょ?
あまり、良いイメージが無く悪者扱いされやすいブルーライトですが、実はスマートフォンやパソコンの画面だけではなく太陽からも放出されているということはご存じですか?
人間の体内時計は24時間周期ではなく、25時間周期だと言われています。
毎日1時間ずつずれるはずなのに毎日規則的な生活を送れるのは、毎朝太陽から放出されているブルーライトを浴びることによって体内時計がリセットされるから。
ブルーライトは身体に悪いというイメージが強いかもしれませんが、実はスマートフォンやパソコンが普及するよりもはるかに昔から人間の生活を支えてきた光でもあるのですよ。
ブルーライトカットメガネは必要ないと言える理由
ブルーライトそのものについての理解が少し深まったところで、本題の『ブルーライトカットメガネは必要か?』という問題についてみていきましょう。
令和3年4月に日本眼科学会など6団体が連名で出した意見書にはこう書かれています。
デジタル端末の液晶画面から発せられるブルーライトは、曇天や窓越しの自然光よりも
少なく、網膜に障害を生じることはないレベルであり、いたずらにブルーライトを恐れ
る必要はないと報告されています。ブルーライトカット眼鏡には眼精疲労を軽減する効果が全くないと報告されています。
日本眼科学会など6団体-小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見 p.1
ネットやメガネ店、ブルーライトカットメガネの広告などを見ると、まるでブルーライトの影響によって眼精疲労が引き起こされたり、眼にダメージがあるかのように書かれていますが、実は科学的には証明されていないんです。
これまでデスクワークやゲームをするときなどにブルーライトカットメガネをしてきた人からすると、完全に騙された気分ですよね…。
せっかく買ったのにつけてても意味ないの!?
つけるだけ無駄なら、邪魔だし処分してやる!
実はブルーライトカットメガネが役立つ場面もあるから捨てるのはちょっと待ってくださいね!
睡眠の質とブルーライトカットメガネの関係
ここまで読んでいただいた方の中には、「せっかく買ったのにブルーライトカットメガネって意味なかったのか…」とがっかりされている方もいらっしゃるかもしれません。
確かに眼精疲労や、眼へのダメージを防ぐといった目的の場合は意味がないかもしれませんが、実は睡眠障害対策のための使用に関しては効果が認められています。
ここからは睡眠の質とブルーライトの関係についてご紹介していきますので、ブルーライトカットメガネは捨てずに続きをお読みください。
睡眠の質を下げる原因は脳の勘違い
人間の体内には様々なホルモンがありますが、睡眠ホルモンとも呼ばれる『メラトニン』というホルモンがあります。
このホルモンは夕方、日が暮れ始めるころになると脳内で徐々に分泌が始まり心身をリラックスモードにすることで、自然な眠りへと導く働きをしています。
ところがブルーライトのように強い光を見ることで、脳がまだ昼間だと勘違いしてしまうとメラトニンの分泌が抑制されてしまいます。
メラトニンの分泌が少なくなるだけならまだしも、体内時計まで狂ってしまう可能性があります。
規則正しい生活を送っているつもりでも体内時計が知らず知らずのうちに狂ってしまい、毎日の睡眠の質を下げてしまっているのですね。
就寝前のブルーライトカットメガネは有効
私たちの身の回りにはブルーライトを発する電子機器があふれています。
スマートフォンにパソコン、テレビなど、1日を通して全くこれらを使わないという人はもはやごく少数でしょう。
良質な睡眠を取るためには、就寝の数時間前から徐々にメラトニンが分泌され、自然な眠気から入眠することが理想的ですが、夜間にブルーライトを全く見ないというのも難しいでしょう。
そこで役に立つのが『ブルーライトカットメガネ』というわけです。
メラトニンが分泌されるくらいの時間帯になってからは、テレビを見るときやスマートフォンを操作するときなど、ブルーライトを浴びる可能性がある時にブルーライトカットメガネをつけておくことで、脳の勘違いを緩和することが出来ます。
ブルーライトカット眼鏡を着用すると、
慶応義塾大学 ブルーライト研究会-就寝前2時間のブルーライトカット眼鏡の着用で
自然な眠りを誘う睡眠ホルモン(メラトニン)
の分泌量がより多く分泌される。
睡眠の質が改善される! p.02
ブルーライトカットメガネは何時から?
より良い睡眠を取るために、メラトニンが分泌される時間帯からはブルーライトカットメガネを着用しておくのが良いことは分かりましたが、具体的に何時ころから着用すればよいのかが気になるところですよね。
就寝時間は人それぞれなので、具体的に何時からというのは難しいところですが、メラトニンは朝起きて日光を浴びた時から約14時間後に分泌が始まると言われています。
体内時計による自然な入眠のためにも、自分が起きてから14時間後というのを一つの目安にしましょう。
例えば朝6時に起きる人の場合は20時、朝7時に起きる人なら21時といった具合です。
とはいえ、いちいち時間を計算して気にしているのも面倒ですから、仕事を終えて帰宅してからはブルーライトカットメガネを掛けておくなど、自分で分かりやすい目安となるタイミングを作っておくといいですよ。
寝る前用のブルーライトカットメガネ選びの注意点は?
ブルーライトカットメガネは睡眠の質を高めるためには有効な手段であることがお判りいただけたかと思います。
ここからは就寝前に使うことを前提としたときのブルーライトカットメガネの選び方をご紹介します。
レンズの種類
ブルーライトカットメガネには『吸収タイプ』と『反射タイプ』という2種類のレンズがあります。
分類上は『ブルーライトカットメガネ』や『PCメガネ』と呼ばれますが、レンズによってブルーライトのカットの方法が違いますので、用途に合ったタイプを選びましょう。
反射タイプ
反射タイプのレンズはブルーライトを反射することで、眼に入るブルーライトを軽減します。
特殊な透明のコーティングによってブルーライトを反射する仕組みなので、視界はクリアで見た目も普通のメガネとほとんど変わりません。
ゲームの実況や、ライブ配信など、見た目を気にしつつもブルーライトをカットしたい方にはお勧めできますが、ブルーライトのカット率は吸収タイプの方が優れているので、特に理由がない方は吸収タイプを使用したほうが効率よくブルーライト対策が出来ます。
吸収タイプ
吸収タイプのレンズには特殊な染料が使われており、ブルーライトを吸収することで目に届くブルーライトを軽減します。
一般的に反射タイプよりもブルーライトのカット率が高い商品が多いですが、レンズ自体に色が入っているので、視界にも色が入ります。
見た目はスモークの入ったメガネに似ているので、人によっては使う環境を考慮したほうがいいでしょう。
就寝前のブルーライト軽減を目的とした場合は、吸収タイプのレンズを採用しているメガネがおすすめです。
ブルーライトの軽減率表記に注意
ブルーライトカットメガネを探していると、『ブルーライトを○○%カットします!』などの宣伝文句を目にします。
カット率の高いメガネを選べばいいのね!
確かにカット率を高いメガネを選べば、ブルーライトをより多く軽減できることが期待できますよね!
しかし注意してほしいのが、『その数字は信じられるものか?』ということ。
例えば、『ブルーライトを平均70%カット!』と宣伝をしている商品でも、よくよく説明を読んでみたら『※平均値は23%です』とよく分からない注意書きがされていたり。
そもそもどんな検査をしてカット出来る割合を測定したのかが全く分からなかったりします。
本当にブルーライトをカットしてくれるのかすら怪しい商品なんて使いたくないですよね?
そこで参考にしてほしいのが『JIS規格に基づいた性能試験』というもの。
JIS規格というのは日本の産業製品に関する規格や測定法などが定められた日本の国家規格のこと。
JIS規格についての解説は長くなってしまうので割愛しますが、簡単に言うと、品質や安全性が一定の基準に基づいて保証されているということです。
ブルーライトカットメガネを選ぶ際にもきちんと『JIS規格に基づいた性能試験』を行っている商品であるかを確認しておきましょう。
ちなみにブルーライトの軽減率に関しては『一般財団法人 日本眼鏡普及光学器検査協会」の日本工業規格(JIS T 7333:2018)に基づく検査』の結果が表示されていると安心です。
まとめ
今回はブルーライトカットメガネの必要性と、選ぶ際の注意点についてご紹介をしてきました。
日中はブルーライトに対して過敏になったり対策をする必要はありませんが、夕方以降は睡眠の質を下げないためにブルーライトカットメガネを上手に使って、メラトニンの自然な分泌を促してあげましょう。
ブルーライトカットメガネはたくさんの種類が販売されておりデザインも豊富ですが、性能についてはしっかりとした検査によって測定された結果が分かる商品を選ぶことをお忘れなく。